2025.06.05 / お知らせ
「化粧品なんて全部機械が作るんでしょ?」とよく聞かれます。
でも現場をのぞくと、意外にも人の手があちこちで動いています。たとえばマスカラ。
液体をボトルに充填するのはロボットの得意技ですが、ブラシにダマが付いていないか、キャップが“カチッ”と均一な力で締まるかはベテランスタッフの出番。
リップクリームも同じ。軸を容器にまっすぐ立て、回したときに横が擦れないかを
チェック。最後にキャップを“キュポン♪”と音が鳴るまで締めて、
開けたときの気持ち良さまで保証します。
では、なぜ完全自動化しないのでしょう? 答えは“変化への強さ”。
マスカラは季節ごとに変わり、リップは香りや色のバリエーションが次々出ます。
そのたびにロボットを調整するより、人の勘と器用な指先のほうが早くて安いのです。
現場では「私らが究極の多目的マシン」という声が響きます。
こうして生まれた一本は、梱包ラインでもうひと手間。箱に隙間があればプチプチを指でふんわり詰め、走るトラックの揺れを先回りして想像します。これも長年のカン。お弁当のミニトマトを動かして空きを埋めるお母さんの感覚とそっくりです。
自動化は日進月歩ですが、まだまだ人の力が必要な現場は多く存在します。
今朝ポーチから取り出したマスカラ、唇に滑らせたリップクリーム。その静かな輝きと潤いの裏には、見えない指先の努力が詰まっています。機械の力と人の技が二人三脚で守る“使い心地”――そう思って手に取ると、いつものコスメがちょっと誇らしく見えてきませんか?