2025.08.06 /
私はアッセンブリの現場を預かる立場として、毎朝ラインを眺めながら「ここで流れている時間こそ会社の財産だな」としみじみ思います。けれど日々の数字や納期を追ううち、働き続けてくれている仲間の時間そのものに光を当てる機会が少ないことが気に掛かっていました。そこで今月から、朝礼で“勤続年数賞”を行うことにしたのです。
セレモニーはごく小さなものです。名前をお呼びし、手作りのカードとポチ袋をそっとお渡しして、みんなで拍手を送ります。それだけなのに、頬を緩めて壇上に立つ姿を見た瞬間、これまでの年月が一気に立ち昇ってくるようで胸が熱くなりました。
昼休みに「来月は私かもしれないね」と肩を寄せ合って話す声が聞こえました。拍手ひとつが、自然なコミュニケーションの芽をつくってくれるものだと実感します。仕事の相談はもちろん「お疲れさま」の一言が増えるだけでも、現場の空気は柔らかくなるものですね。
この賞を続けることで、「ここで働く意味」をお互いに確かめ合う場が毎月生まれるといいなと思っています。長く勤めるほど技術は磨かれますし、積み重ねたコツは新人への何よりの教材です。拍手が行き交う風景が定着すれば、改善アイデアも遠慮なく飛び交い、もっと働き甲斐のある職場へ育っていくはずです。
いつかこの取り組みが社風として根付き、社外へ向けても発信できたら素敵だな――そんな未来を思い描きながら、今日も小さなポチ袋にリボンを結びます。拍手のリズムが、私たちのものづくりをさらに確かに、温かいものへと導いてくれると信じています。